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ネコヤナギとホタル 猫柳と蛍

唱歌 「蛍」(作詞 井上 赳 作曲 下総 睆一)で歌われているようにホタルと川端に生えるやなぎは相性がよい。
(高木の柳と中低木の楊の2字ある)

蛍のたるのやどは 川ばた柳
柳おぼろに 夕やみ寄せて
川のめだかが 夢見る頃は
ほ ほ ほたるが 灯をともす

川風そよぐ 柳もそよぐ
そよぐ柳に 蛍がゆれて
山の三日月 かくれる頃は
ほ ほ ほたるが 飛んで出る

その理由としてどちらも水際の生き物であり、水中根を持つネコヤナギが蛍に必要な環境を提供するためである。


ホタルの一生

ここでは次の事例を挙げる。

 

場  所 河 川 名 施 工 規 模
1 福岡県豊前市 二級河川 岩岳川 2009.3 36本
2 大分県豊後高田市 二級河川 真玉川 2010.5 90本
3 佐賀県唐津市厳木町 農業水路広瀬・中島地区 2013.3 21本
4 熊本県球磨郡芦北町 芦北川水系乙千屋川 2015.3 50本

[事例1.] 福岡県豊前市二級河川岩岳川 平成21年3月施工(2009)

豊前市のほぼ中央部を流れる延長約20kmの2級河川岩岳川において、環境改善を目的としてコンクリート既設護岸にネコヤナギを植栽するものである。植栽区間は合岩小学校付近の左岸であり、毎年6月上旬に豊前市ホタル祭の会場となっている「ホタルの里 清原自然公園」のすぐ下、対岸である。写真2.1のように巨石張工、ブロック張工が施され、護岸勾配は1割である。

植栽区間全景
植栽区間全景

巨石張工写真
巨石張工写真

以下、施工直後、2年後にネコヤナギが成長し、水辺に緑陰ができた写真。最後に5年後の初夏、ホタル祭りの時の写真を掲載する。

コンクリート護岸 平成21年3月施工直後

水当たりが強く、背後には小学校があり子供たちの安全を守っている「コンクリート護岸」、その一方では水際にはなにもなく魚類や水生生物の棲みにくい状況となっていた。
コンクリート護岸

平成23年6月 2年3か月経過
緑陰に覆われて本来の河川に近い様相となった「コンクリート護岸」その水際には様々な生物が集う。

岩岳川に面する公園内では、毎年恒例となっているホタル祭りが行われ、自然のホタルが、多い時で400匹~500匹ほど飛び回り、川辺を幻想的な光で演出している。


[事例2.] 大分県豊後高田市 二級河川真玉川 平成22年5月施工(2010)

道路改良事業で河川を付け替えたため、従前の河川環境の復元・再生を目的として、ネコヤナギ・エコ工法を用いて水際を緑化したものである。

▼平成22年5月 付け替え河川施工直後の写真
平成22年5月 付け替え河川施工直後の写真

▼平成23年8月5日(2011)撮影 施工後1年3か月後
平成23年8月5日(2011)撮影 施工後1年3か月後

▼平成26年5月27日撮影(2014)施工後4年目の写真
 施工後3年目からホタルが多くみられるようになった。
平成26年5月27日撮影(2014)施工後4年目の写真

ネコヤナギにホタルだけでなく、たくさんの昆虫類やクモ類が棲みついている。
また、これらの昆虫類が水中に落下すると水生昆虫や魚の餌になり、ますます生き物が増える!

葉陰で休むホタル

葉陰で休むホタル

トビケラ

トビケラ

ハムシ

ハムシ


[事例3.] 佐賀県唐津市厳木町農業水路広瀬・中島地区 2013.3施工

厳木町は松浦川水系厳木川を中心としてホタルの名所として知られていたが、近年ホタルの飛翔数の減少が著しく、名所とは言い難い。そこで地域住民やボランティア団体が中心となって「厳木川ホタルの会」を結成し、この地域を昔のようにホタルの名所となるよう、三面張り農業水路を改良し、ホタルを復活させることとした。河床改良、削孔、植栽も含め実施した。弊社は技術指導として参加しており、写真は共同作業時に観察記録として撮影したものだ。あしかけ5年にわたり2地区で41本のネコヤナギが植えられた。施工後の管理としてカワニナの放流・育成、ホタル幼虫の移植、水路内の清掃等は地区の有志が行った。
※「厳木(きゅうらぎ)町ホタル復元事業PDF」に詳しい資料あり。

  広瀬地区 31本 中島地区 10本 備考
平成22年度
(2011)
(3月)施工10本 (3月)施工10本  
施工直後~夏にかけての観察写真  
平成24年度
(2013)
(3月2日) 観察写真花穂、ホタルの幼虫確認  
平成25年度
(2013)
(4月21日) 広瀬地区施工15本 広瀬地区追加施工
(6月13日) ホタルの確認  
平成26年度
(2014)
(4月)広瀬地区再施工6本 広瀬地区追加施工
平成27年度
(2015)
(4月12日)芽吹き  
(5月31日)ホタル確認  
平成28年度
(2016)
(7月20日)ホタルの飛翔確認 水路に多数飛翔

1. はじめに河床に堆積している泥土除去した後、三面張りの水路底を改良し、常に一定の水深を確保するとともに玉石と砂を敷いた。
玉石と砂

2. 護岸にネコヤナギ・エコ工法を適用し、ネコヤナギの植栽を行った。
ネコヤナギの植栽

3.現地に看板が取り付けられた。
現地に看板が取り付けられた

▼平成22年7月(2010)施工後4ヶ月、夏のネコヤナギ生育状況 中島地区
平成22年7月(2010)施工後4ヶ月

▼平成25年3月2日 施工後3年経過(2010)
ネコヤナギの名前の由来となった花穂が水面に揺れる様子は早春の風情がある。

▼この時期に水路の砂の間にホタルの幼虫が確認できた。
ホタルの幼虫ホタルの幼虫

▼平成25年6月(2013)施工後3年経過して、ホタルが観察された。まだ多くはないが、水路にちらほらとホタルが見られた。
ホタルが観察された

▼葉張約1mの樹木では、日中ホタルの休息を確認

樹形(葉張りφ≒1.0m)
樹形
樹形(葉張りφ≒1.0m)
樹形
ホタル1
ホタル1
ホタル1
ホタル1
ホタル1 ホタル1

▼平成28年6月(2016)当初施工後6年経過 夜の飛翔状況
当初の施工から6年たち、ネコヤナギも大きくなって、ホタルの乱舞が見られた。



[事例4.] 熊本県球磨郡芦北町 芦北川水系乙千屋川 2015.3施工

芦北町は「ホタル保護条例」を持ち、町全域を保護区域に設定し、研究目的以外の捕獲禁止し、住民や河川工事の事業者らに対してホタルの生息環境に配慮することを義務付けているホタル先進自治体である。
地元熊本県立芦北高校林業科では「甦れ!ほたるの里~林業技術を活かしたホタル復活大作戦!~PDF」と題して継続的な活動を行っている。
平成18年4月、南九州自動車道工事のため乙千屋川上流の一部が埋め立てられ、436mの新河川が設置されることになった。そのため水生生物を埋め立てられる旧河川から新河川に移動する「ホタル保全事業」(芦北町主催)が計画された。芦北町、熊本県、地域住民と高校生が一緒に活動した。このような活動が評価され、以下受賞多数。

平成23年  第20回「くまもと環境賞」受賞
平成25年度 熊本県学校農業クラブ連盟「肥後水とみどりの愛護賞」最優秀賞受賞
      (環境の部)「ホタルの生きる河川環境づくり~乙千屋川、ホタル復活への思い~PDF
平成27年3月 環境省「小さな自然再生活動事例集PDF」に収録

1.平成28年1月16日(2016)地元説明会開催
平成28年1月16日(2016)地元説明会開催

2.平成28年2月18日(2016)ネコヤナギ採捕会
平成28年2月18日(2016)ネコヤナギ採捕会

3.平成28年2月20日(2016)竹ポット作製会
平成28年2月20日(2016)竹ポット作製会

4.平成28年3月10日(2016)ネコヤナギを植栽
平成28年3月10日(2016)ネコヤナギを植栽

5. 平成29年1月6日(2016)剪定作業
ネコヤナギは順調に生育しており、早速カワガニやホタルの幼虫が見つかった。この夏、ホタルの出現が楽しみである。
ホタルの幼虫カワガニ

<技術指導>松本技術コンサルタント株式会社 TEL:0979-23-3636(担当/秋本)
<施工協力>内山緑地建設株式会社 TEL:0943-72-2138(担当/吉岡)